1-9-2 政府の2019年新IT政策 データの安全・安心・品質 公共・民間部門の対応促進 2019年春に政府IT政策

2019年1月26日 オフ 投稿者: wpmaster

昨年12月19日に公表された政府の新IT戦略の要点。

1.今の状況と環境をどうとらえているか。

●デジタル技術・サービスの進展の速さは「破壊的」、生活に大きな変化。

●スマホ保有は世帯全体の75%、36%がタブレット保有、SNS利用70%。

●新資源のビックデータとAI活用で新しい価値創造が可能な時代。

●データ活用サービス企業が金融、製造、資源企業を凌駕する傾向。

●日本も 「官民データ活用推進基本法 」などアクションを起こしているが、早く次世代型社会に移行にチャレンジする。そこで次のアクションを起こす。

2.アクションプラン

●国・企業で良質データを活用できるよう環境整備する。

● 国際的なデータ流通制度を作るべく、国際社会に提案する。

●国、重要産業、個人情報などのデータを保護しつつ円滑に活用方法を探る。

●政府も企業もデジタル化対応を急ピッチで進める。

●2019年春にIT政策大綱を示す。

平成 30 年 12 月 19 日
高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・
官民データ活用推進戦略会議決定

デジタル時代の新たなIT政策の方向性について

~デジタル時代に対応した「新たな社会システム」への移行に向けて~

1.基本的な考え方

○ 近年、デジタル技術やデジタル技術を活用したサービスは、これまで の産業では考えられないスピードで進展しており、ビジネスにおいて、 しばしば「破壊的(disruptive)」とも言われる変化をもたらしている のみならず、国民の生活にも大きな変化をもたらしている。

○ 例えば、2010 年(平成 22 年)に約 10%であったスマートフォンの世帯保有率は、2017 年(平成 29 年)には約 75%まで上昇し、同様に約 36%の世帯がタブレット端末を保有している。また、70%以上が何らかの形で SNS を利用しているとの調査もある。このように、我々の生活の中に、急速な勢いで浸透するデジタル技術を活用した通信機器やアプリケーションを通じた多様なサービスの出現により、日常のコミ ュニケーション、消費スタイル、余暇の過ごし方など、それぞれの生活シーンにおける国民の行動様式は大きく変化している。

○ また、ビジネスにおいては、人工知能(AI) 、IoT などの新たな技術の利活用が進むにつれて、大量に流通するデータがデジタル時代の「新たな資源」として注目を集めている。例えば、センサーなどにより収集した情報をビッグデータ化し、AI を活用して分析することで、小売分野での需要予測、潜在需要を喚起する新商品・サービス開発、医療分野での予防医療やオーダーメイド治療、都市での犯罪・事故・災害抑制などの新たな価値の創造につなげることが可能となるためである。

○ ビジネスの世界においては、既に、この新たな資源の利活用が競争力を決める重要な要素の一つとなりつつあり、旧来の競争のパラダイムの変化につながっている可能性がある。例えば、近年の世界の株式時価総額を見れば、何らかの形でデータを活用してサービス提供等の事業を行っていると言われる企業が、かつて上位にあった金融、製造業、 石油等の資源などの事業者に変わり、上位に位置する傾向が見られる。

○ 我が国においても、こうした現状を踏まえ、デジタル時代の「新たな資源」であるデータの利活用を進めることを目的として、2016 年(平 成 28 年)12 月に成立した「官民データ活用推進基本法(平成 28 年法 律第 103 号)」に基づき、オープンデータの推進や自動運転、農業、医療などの分野におけるデータ連携基盤の構築などの施策を進め、官民が連携して、データを活用した社会課題の解決や産業の国際競争力強化に向けた取組を進めているところである。

○ 一方、国際的には、デジタル技術やデータ活用型サービスにより起こる国民生活の変化や産業のパラダイムシフトに対応するための新たなルールや標準などの検討が進められている。例えば、EU は、主に EU 域 内に居住する個人のより一層のプライバシー保護を目的として、EU 域 外の第三国にデータを移転するために満たすべき法的要件等を含む 「一般データ保護規則(GDPR:General Data Protection Regulation)」 を制定した。

○ こうした世界的な動向を踏まえれば、我が国においても、デジタル時代の国民生活の変化や産業のパラダイムシフトに対応するため、データ利活用を進めながら、旧来の IT 技術を前提とした制度や規制の機動的な見直しや、新たに必要となる標準やガバナンスの在り方についての検討を進め、最新のデジタル技術を前提とした Society 5.0 にふさわしい「新たな社会システム」への移行を図ることが喫緊の課題であ る

○ 本決定は、こうした基本的な考え方に基づき、我が国の新たな IT 政策の方向性を以下のとおり示すものである。

2.新たな IT 政策の方向性

(1)データの安全・安心・品質

○ スマートフォンやタブレットの普及、ネットワークの高度化、センサ ー等の発達による IoT の実現などにより、データの流通量は大幅に拡 いる。国際的なデジタルデータの量は、2010 年(平成 22 年)の 約 988 エクサバイト(9,880 億ギガバイト)から約 40 倍増加し、2020 年(平成 32 年)には約 40 ゼタバイトに達するとの予測もある5 。

○ デジタル時代における新たな資源であるデータを最大限活用し、我が国が直面する少子高齢化や産業の国際競争力強化などの課題の解決を図るためには、官民が広く良質なデータを活用できる環境を整備する必要がある。そのため、政府においては、個人や法人の権利利益の保護を図りつつ、国内におけるデータ流通を円滑化させるための制度整備を進めている。

○ 一方、経済のグローバル化が進展する今日においては、国内のみならず国際的なデータ移転も大幅に増加しており、例えば、日本企業の約 40%、米国企業の約 60%が越境データ移転を行っているとの調査もある。

○ こうした現状を踏まえ、国内はもとより国際的なデータの移転につい ても、自由かつ公平なルールを基本としつつ、個人及び法人の権利利益や国の安全等が損なわれることのないよう、個人に関するデータや重要産業のオペレーションデータなどについて、透明性の高いルールの下、相互に個人情報の保護やセキュリティを確保しつつ、国際的なデータ流通環境を構築するために必要な措置を講ずる。

①国際的なデータ流通の枠組みの構築

国際的に広く連携し、個人情報と重要産業情報を含め、相互に信頼性が確保されたデータフリーフローを促進する国際的な枠組みを立ち 上げる。【経済産業大臣、総務大臣、個人情報保護委員会、関係大臣】

②個人情報の安全性確保

データの越境移転に伴う多様なリスクに対応できるルールの整備、 海外事業者に対する法執行の強化をはじめとして、課徴金などペナル ティの在り方を含めた個人情報保護法8の運用と制度の見直しを検討 する。【個人情報保護委員会】

③重要産業のオペレーションデータ等

我が国の国民生活・経済運営に不可欠な基盤を提供する重要産業において、オペレーションデータ等に関わる重要システムの特定、管理の強化及び高度化に向けた課題・対応策の検討を行う。 【サイバーセキ ュリティ戦略本部に関する事務を担当する国務大臣、業所管大臣】

④政府・公共調達

IT システム、5G やクラウドサービスなどの重要システム・サービスの調達に当たって、安全性等の評価を確実に実施する仕組みを構築する。 【サイバーセキュリティ戦略本部に関する事務を担当する国務大臣、 情報通信技術(IT)政策担当大臣、総務大臣、経済産業大臣】

(2)公共・民間部門のデジタル時代への対応の促進

○ AI、IoT やクラウドなど、デジタル時代の技術は目覚ましい進展を遂げているが、こうした技術を最大限活用して、行政サービスの高度化による国民の利便性向上や、生産年齢人口減少に対応した働き方改革、民間事業者の生産性向上につなげるためには、官民のデジタル化への対応を促進する必要がある。

○ 例えば、現状においては、民間事業者の約8割がレガシーシステムを抱えており、また、約7割がそのレガシーシステムがデジタル化への足かせと感じているとの調査もある。行政のデジタル化についても、 オンライン手続に関する添付書類の撤廃や、引越しなどのライフイベントに関する手続のワンストップ化など、国民の手続に係るコストと負担を削減するための施策について一層の加速化が期待されている。

○ こうした現状を踏まえ、行政のデジタル化の徹底はもとより、時間と場所を有効に活用できる柔軟な働き方であるテレワーク等の推進や、 重要産業を中心とした民間事業者のデジタル化を促進し、さらに、AI などの先端技術を含め、日本が強みを有するリアルデータを有効活用し、我が国の競争力強化を実現するために必要な措置を講ずる。

○ また、あわせて、次世代通信インフラである 5G の全国展開プラットフォーマーなどの新たなビジネスの形態に対応するルール整備、デジ タル時代の基盤となる標準アーキテクチャを整備する機能の強化など、デジタル時代を下支えするインフラ、ルール、標準などの整備を進める。

①行政のデジタル化の徹底

各府省の情報システム関係予算について、予算要求から執行の各段階において、一元的なプロジェクト管理(調達手法の見直しを含む。)を強化することにより、政府の情報システム改革を加速化する。また、 引越し等に関する手続のワンストップ化など、国民の手続負担を軽減する取組を進めるとともに、高齢者や障害者に寄り添い、また地域の 成長・再生・維持につながる「人に優しいデジタル化」を実現するための施策を促進する。【情報通信技術(IT)政策担当大臣、総務大臣、 経済産業大臣】

②民間部門のデジタル化時代への対応の促進

民間部門において、重要産業を中心に、旧来のシステムの刷新、データ管理、セキュリティ対応等のデジタル化時代における競争性・効率性の強化と安全確保を両立させたシステムガバナンス、システム投資を促進する。【業所管大臣、経済産業大臣】

③プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備等の基盤強化

プラットフォーム型ビジネスの台頭により変化する市場においても、 活発な競争を可能とする環境を整備するため、デジタルプラットフォ ーマーの社会的責任、利用者への公正性の確保が可能なルール整備等を行う。【経済再生担当大臣、経済産業大臣、公正取引委員会、総務大 臣】

④AI 活用型(AI-ready)社会の構築

既存の社会構造を根本から変革し得る技術である AI を最大限活用し、少子高齢化などの社会課題の解決につなげるため、AI 人材基盤の 確立、戦略的な AI 技術開発等の推進などを進めるとともに、「人間中心の AI 社会原則」を策定し、AI が社会に受容されるための原則について、国際的な議論を我が国が主導する。 【内閣府特命担当大臣(科学 技術政策)、情報通信技術(IT)政策担当大臣、関係大臣】

⑤地方のイノベーションを支える 5G の整備と標準・アーキテクチャ整備機能の強化

デジタル技術を活用した地方におけるイノベーションや、自動走行、 医療・介護分野、農業、港湾・物流、製造などの広範な分野における データ利用など、デジタル時代の経済・国民生活を支える社会インフラである「5G」の世界に先駆けた全国展開や基盤技術の更なる高度化を行うとともに、日本が強みを有するリアルデータを活用した AI などのデジタル技術の社会実装等を実現する基盤となる標準・アーキテクチャの整備機能を強化する。 【情報通信技術(IT)政策担当大臣、内閣 府特命担当大臣(科学技術政策)、総務大臣、経済産業大臣、関係大臣】

3.今後の対応

○ 関係府省庁においては、上記の新たな IT 政策の方向性を踏まえ、政策の目的と効果を明らかにし、必要な施策の具体化を進め、2019 年(平 成 31 年)春頃を目途に、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 (IT 総合戦略本部)を中心に、担当機関と連携し、新たな IT 政策大綱として取りまとめを行うこととする。

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